A.予防に力を入れる場合は、ユニット一台につき衛生士が一人と考えるべきでしょう。経営方針のコンセプトによって変わってきます。診療所の規模や売上とも関連します。
衛生士、助手、受付を合わせた人件費の合計が開業1年後の1ヶ月あたりの売上の25%から30%くらいを目安にします。衛生士の初任給ですが24万から26万にボーナスが2ヶ月分から3ヶ月分くらいが平均です。一方、受付・助手ですが、20万から22万くらい、ボーナスが2ヶ月分から3ヶ月分くらいが平均です。
歯科衛生士は現在不足しているのが現状です。おおよそ歯科衛生士の勤め先を決めるポイントは下記のようです。また、医院のホームページは患者だけでなく、これから採用しようとするスタッフのかたも拝見いたしますので、そのことに留意して作成することが重要です。
1.給与 2.勤務先の場所 3.スタッフの数 4.勤務時間 5.休日の確保
6.院長の人柄 7.夜間や日曜診療の有無 8.医院の雰囲気 9.研修
A.開業してから3ヶ月間の新患者数が将来の歯科医院の来院患者を決めると言っても過言ではありませんので、開業時の宣伝はとても重要です。開業時の宣伝として考えられるのは、 ポスティング ・ 折込広告 ・ 内覧会 ・ 看板広告 ・あいさつ回り、ホームページの作成の6つです。100万から200万円くらいの予算を用意しておく必要があります。 また、開業前の医院前の張り紙も効果的です。そこを通る方が見ることを想定して作成するとよいでしょう。
また、開業時の広告については下記の点に留意ください。
A.周辺の状況を考えて決定すべきでしょう。その他、決め手となる要因は下記のようなことが考えられます。
1) 周辺の歯科医院の休診日と重なっていないか?
2) 周辺はビジネス街か?
3)周辺は住宅街か?
4) 医院の得意分野は?戦略は?
5)医院の備える設備は?
医院の戦略上でもっとも重要なファクターは、どうやって自院のブランドイメージを作るかです。
●「評判の良い歯科」=患者で混み合っている。
●「○○の得意な歯科医院」=特定の自費診療の症例が多い。
●「○○の置いてある歯科医院」=マイクロスコープやレーザーなどがあるなど。
●「地域にやさしい歯科医院」=訪問診療を行なう歯科医院(訪問診療の時間帯を設ける必要があります)
●「サラリーマンに優しい歯科医院」=夜間診療を行なう歯科医院(夜の8時以降等の時間設定が必要です)
●「子供に優しい歯科医院」=小児歯科の専門医がいる歯科医院(小児歯科医の来る日・時間を設定する必要があります)
●「審美に強い歯科医院」=審美歯科や口臭対策、ホワイトニングなどに強い歯科医院
A.大体ですが、坪2万円を超える場合は、保険診療主体の経営は難しいと言えるでしょう。安定的な経営を目指す場合は率で言いますと、売上の10%以内かまたは、家賃と原価(歯科材料仕入・外注技工代)合わせて、売上の25%から30%以下ですと経営が安定します。
事業というのはいくら売上額が大きくても儲からない場合があります。売上額を大きくするためには仕入代金の他に人件費や広告費等の新たな経費をかけなければならないため、「売上額<経費」となれば赤字で儲からないことになります。
事業を成功させるためには「売上額=経費」をクリアして「売上額>経費」を早い段階で達成しなければなりません。この「売上額=経費」つまり収支ゼロの地点を損益分岐点といいます。損益分岐点を考える際、当然の話ですが固定費は低いほうが良いでしょう。
まずは、売上=経費をクリアするまでは、融資や自己資金で賄う必要があります。そのため、医院の売上=経費にするための売上を知る必要があります。それを知ったら、月に何人くらいの患者、どのくらいの自費が必要か考えます。合わせて削減できる経費があれば削減いたします。
しばらく、目標に達しないと思ったら、自己資金や融資で賄う必要ありです。
○売上額=利益+経費
↓
・[売上額<経費]<-------赤字
・[売上額=経費]<-------損益分岐点
・[売上額>経費]<-------黒字
損益分岐点は以下の計算式によって求められます。
損益分岐点 = 固定費 ÷ (1-(変動費÷売上高))
損益分岐点売上高の実際の売上高に対する割合を「損益分岐点比率」といいます。この指標を用いて企業の収益性を評価することがあります。
損益分岐点比率は低ければ低いほど収益性が高く、かつ売上減少に耐える力が強いことを意味し経営が安定していると判断されます。
例えばですが、3つのケースをあげて説明します。
下記のように損益分岐点は、家賃の一番低いケース3が最も低く287万となります。
(ケース1)
歯科材料・技工代 売上の2割
人件費 100万 家賃 30坪×単価3万=90万・そのほかの経費 100万
この場合の損益分岐点は362万
(ケース2)
歯科材料・技工代 売上の2割
人件費 100万 家賃 30坪×単価2万=60万・そのほかの経費 100万
この場合の損益分岐点は325万
(ケース3)
歯科材料・技工代 売上の2割
人件費 100万 家賃 30坪×単価1万=30万・そのほかの経費 100万
この場合の損益分岐点は287万
A.銀行からの融資か、自己資金になりますが、自己資金には親族からの借入が含まれ、銀行融資は、自己資金・担保・保証人・事業計画書がポイントになります。
自己資金はできれば2割から5割は欲しいところですが、残りは銀行融資に頼る必要があります。
また、親族からの借入は金融機関との借入と違ってどちらかというと自己資金に近い性格のものですから最大限、利用するべきです。
ただし、税務的な観点から贈与とみられないように下記に留意ください。
1.金銭消費貸借契約書を作成します。
2.月々の返済額に無理がないか確認します。
3.振込により支払います。
また、両親からの贈与を最大限利用する方法もあります。要件として親の年齢が60歳以上という条件がつきますが、2500万までは贈与税がかかりません。(両親からそれぞれ2500万の贈与を受けると合計5000万になります)
事業計画書の内容ですがおおよそ下記のようなものになります。
1.開業動機・事業に対するコンセプト
2.経験・知識
3.将来の展望
4.競合診療所との兼ね合い
5.事業収支(売上・経費)
A.銀行からの資金調達のポイントは下記の6つです。
①自己資金
②過去の年収
③現時点の金融事故の有無
④保証人
⑤担保
⑥事業計画
⑤の担保がある方や、④の財産が十分にある保証人のいる方は、それほど資金調達には苦労しないでしょうが、現実的には、担保・保証人は難しいといった方が多いのではないでしょうか。
②の過去の年収ですが、銀行審査はまだ、将来の予想より過去の結果を重視するところが強いのが現実です。確定申告書または源泉徴収票は過去2年から3年分が審査の対象となります。
③金融事故(カードの延滞等)の履歴があると銀行審査のうえではかなり難しいと言えます。いわゆるブラックリストです。この理由は、お金がないかたもお金はあるのに別の口座に資金があり、ミスによりカード決済できなかった場合も同じ扱いとなってしまいます。銀行審査では、必ず、同意を得て信用情報機関に金融事故の有無を調査します。これにひっかかってしまうと融資は難しいかもしれません。リースや割賦契約も同様に信用情報機関に問い合わせは必ずいたします。
これと同様な事項に公共料金、税金、家賃等のチェックを行いますのでこの点も開業前は特に留意が必要です。
①の自己資金ですが、蓄えがあることは事業の安定を図れるだけでなく、突発的な計画ではないことの証明となります。また、自己資金が両親等の親族であったとすれば、両親等からの賛成と援助があることの証明となります
⑥の事業計画はできる限り売上につき、根拠があるとBESTです。市場圏分析は最低限、必要です。
政策公庫では無担保のケースでは2000万円以上は難しいと思われます。2000万円を超える融資は支店決済でなく本店決済となるため特段の事情が必要だからです。また、自己資金は融資額の1/10以上必要です。ただし、認定機関である会計士、税理士等の一定の指導書があれば自己資金は必要ないです(ただし、自己資金はあったほうが審査上、有利となります)
保証協会では自己資金なしでは1000万までが無担保無保証となっています。自己資金が1500万ある場合のみ同額の1500万の融資を受けることができます。(したがって1500万の自己資金があると、自己資金なしでも可能な1000万+1500万で合計2500万の融資を受けることが可能)
1.政策金融公庫ですが、2000万までは無担保・無保証で融資を受けられます。
2.公的な保証協会の東京都保証協会の融資 1000万まで無担保・無保証
3.公的な保証協会の東京都保証協会の融資 2500万まで無担保、無保証(ただし自己資金が1500万円必要です)
4.地方銀行、都市銀行の無担保無保証ですが、融資を受けられます。(銀行によってさまざまですが、おおよそ5000万円くらいが限度のようです)
5.リース会社等その他ノンバンクでも都市銀行と同様の制度があります。
もちろん、限度額まで融資を受けられるわけではありません。おおよそ政策金融公庫で2,000万、保証協会で1,500万、自己資金1,500万円が現実かもしれません。おおよそ開業の際の融資額は4,000万から5,000万円が平均的な金額のようです。残りは自己資金となります。
また、都市銀行等の高額な融資は、すべての方が通るわけではありません。
ここで必要なのは綿密な事業計画となります。事業計画が銀行側に通るためには現実性が高いもののみに限ります。空想や絵図では、作文にすぎません。具体的には、営業権の譲受けにより売上の予想が立ちやすい診療所や、メディカルモールや高層マンションの一画に診療所があるなどの立地条件がないと事業計画として認められないでしょう。
A.歯科診療所の事業計画書作成のコツは下記の通りです。
医院を開業される際、融資でお悩みになっておられる方が結構いらっしゃると思います。融資を申し込まれる際に作成する「事業計画書」の重要性は言うまでもないでしょう。では、融資の通りやすい「事業計画書」とはどういうものなのでしょうか。その中でも重要な項目について、いくつか簡単に要点を記載しましたのでご参照下さい。
また、元金返済につきましては、半年から1年は据え置きとして申請したほうが無難です。
1.事業に対するコンセプト
A4の半分くらいの量で書く
①氏名及び開業場所
②医院の理念・目標を記載
③上記の理念を実現するための手段を記載します(これが重要です)
2.開業動機
A4の1/4くらいの量で書く(場所の設定と家族の同意があることを必ず記載する)
3.経験及び知識(履歴事項)
A4の1/4くらいの量で書く(出身大学、卒業年数、勤務年数は必ず記載する)
4.将来の展望
A4の1/4くらいの量で書く。3年から5年くらいの売上を記載ください 。
5.資金計画書
(1)売上要素
1.1日あたりの来院患者数
2.休診日の設定(月間診療日数を設定。特に日曜診療の有無)
診療時間の設定した理由(夜間人口が多いため延長診療の実施や住宅街の場合は日曜診療の実施など設定理由を必ず添えることが重要です)
3.診療圏の設定
業者等に確認ください。市場圏分析を依頼します。診療所あたり3000人は欲しいところです。
4.患者数の増加予想(段階的に計画ください。これが重要です)
まず、開業後3ケ月を計画ください。
続いて4ヶ月目から6ヶ月を計画ください。
そして7ヶ月から12ヶ月を計画ください。
3年後または5年後を計画ください。
5.診療単価の設定(400点から700点の範囲にて)
6.社会保険診療と 自由診療の設定
患者数の増加予想に合わせて、単価・レセプト枚数などを計画します。
まず、開業後3ヶ月を計画ください。
続いて4ヶ月目から6ヶ月を計画ください。
そして7ヶ月から12ヶ月を計画ください。
2年後または3年後を計画ください。
(2) 支払いの固定費要素
1.衛生士の給与 医院のコンセプトにあっていることが重要です。
2.助手の給与 医院のコンセプトにあっていることが重要です。
3.医師の給与 医院のコンセプトにあっていることが重要です。
4.旅費交通費(主は従業員の通勤手当)
5.通信費(主は電話代・FAX代)
6.消耗品費(初年度は翌年度の1.5から3倍くらいを設定)
7.水道光熱費(電気代、水道代)
8.技工代及び歯科材料費 15%から20%程度に設定
9.交際費(少なめに設定)
10.福利厚生費(少なめに設定)
11.広告宣伝費(初年度は翌年度の1.5から3倍くらいを設定)
12.家賃(管理費及び駐車場もあれば含める)
13.図書費
14.リース料(リースを組む場合に設定)
15.雑費
(3) 初期費用(設備費用と開業費、運転資金を記載)と調達方法
1.設備費用 内装費用
ユニット
デジタルX線装置
歯科用CT装置、パノラマ
マイクロスコープ
レセコン
その他医療機器(バキューム、コンプレッサーや口腔内カメラ、滅菌器など)
その他開業時消耗品
保証金
2.開業費用
家賃の前払い分及び仲介料
内覧会やホームページなどの宣伝費
3.運転資金 月の必要資金×2ヶ月から8ヶ月くらい(営業譲渡の場合は圧縮できます)
4.自己資金の設定(親族からの借り入れも含む)
多いに越した事はないが、最低でも2割は用意する。できれば5割用意する。
5.設備資金と運手資金から自己資金を引いたものが融資またはリースとなります。
融資の場合は、必ず、月々の返済が20ケ月目から24ヶ月後には売上の10%以下、返済前収支の3割以下であることが必要です(これが重要です)
6.融資手続きに必要なもの
1)市場圏分析書類
2)源泉徴収票または確定申告書の2年分
3)開業計画書(売上・原価・経費)
4)内装、医療機器、内覧会等の見積もり書
5)預金通帳(開業時の自己資金のかわるものや光熱費の支払のわかるものなど)
6)開業のために融資を受ける間に使った領収書(金額の大きいもののみ)
7)不動産の権利書(担保提供する場合)及び固定資産税の領収書
8)診療所の賃貸借契約書または申込書、仮契約書等
9)歯科医師の免許書
10)運転免許証又は健康保険証
A.診療所の規模によりますがおおよそ下記くらいでしょうか。
1.内装費・・・坪50万から80万くらい
2.レントゲン・・・600万から1,500万くらい
3.ユニット1台・・・200万から400万くらい
4.保証金・・・6ヶ月から12ヶ月くらい
5.マイクロスコープ、滅菌器などの医療機器等・・・200万から1000万
6.レセプトコンピューター 250万から300万くらい
7.運転資金・・・3ヶ月から6ヶ月分
8.宣伝費(ホームページの作成・歯科医院のパンフレット作成・開業のお知らせ・ポスティング費用・新聞の折込チラシ)
どれを選択するかまたはどのくらいするかによりますが、150万から200万が平均です。
上記を元に坪25坪・運転資金が月あたり300万の診療所の場合に必要な開業資金は下記の数字になります。
1.内装費用・・・50万×25坪=1,250万
2.レントゲン・・・1,000万
3.ユニット・・・600万
3.保証金(坪あたり1万円として12ヶ月分)・・・1万×25坪×12ヶ月=300万
4.滅菌器などの医療機器・・・500万
5.運転資金・・・300万×6ヶ月=1,800万
6.宣伝費・・・150万
7.合計・・・5,600万
一般的には、開業3ヶ月の新患数が、その後の患者数と伸びを決めると言われています。そのため開業時の宣伝は重要になるのです
新規開業の新患者は他競合診療所の再初診患者を獲得することを意味します。目標としては新患数が開業3ヶ月で150人超を目標にすると良いでしょう。できれば180は欲しいところです。
従いまして、当初3ヶ月のレセプトの累計枚数は150枚から180枚を目指します。また、当初3ヶ月の累計実日数の合計は450から600を目指します。
アポイントの取りかたは、おおよそ週に1回のイメージにて、とれば良いと思われます。
当初の1人点数は比較的高くなり、700点から750点くらいになると思われます。(1レセプトあたりの点数も1,400点から1,500点くらいと比較的高くなると思われます。また、1回あたりの点数が800を超えてくると診療が高いというイメージがつく場合がありますので留意ください)
6ヶ月くらいでユニット1台あたり6人から7人を目指し、1日あたりの患者数は15人から18人くらいを目標にします。
1年くらいで1日あたりの患者が20人から25人くらいいらっしゃると成功といえるのではないでしょうか。
6ヶ月目、1年目の患者を決めるのは、スタートダッシュの開業後3ヶ月間になりますので、この3ヶ月を成功し、150から180の新患者を獲得することが開業を成功させるための必要条件です。
A.まず、医院で予算をたて、下記の3つの項目のどれを行うか、いつ行うか、資金はいくら使うか、決める必要があります。
(Q2も合わせて参照ください)
1.歯科医院の認知度(開業したことなど)を高める宣伝
①医院のホームページの作成 ②看板の作成 ③駅看板 ④タウンページの掲載 ⑤開業チラシ ⑥ポスティング ⑦タウン誌への掲載
2.医院内での宣伝(患者の固定化)のための宣伝
①院内パンフレット ②小児用のおまけ(治療終了後に消しゴムを差し上げたり、治療ごとにシールを貼るなど子供の喜ぶグッズの提供) ③リコール活動 ④院内掲示
3.開業後3ヶ月の新患者の獲得のための直接的な宣伝活動
①地元自治会への挨拶 ②同じビル内の他のテナントへの挨拶 ③教育機関(小学校・幼稚園・保育園)への挨拶 ④近隣企業への挨拶(生命保険・銀行・建設会社など)
⑤内覧会の開催 ⑥地元で開業する場合は、小中学校の同窓会名簿から開業案内を配布
A.下記の手続きが必要です。
1.開業届を税務署と都税事務所へ(すみやかに)
2.青色申告の申請書(2月以内に提出)
3.青色専従者給与の届出(2月以内に提出)
4.給与支払い事務所の設置の届出書及び源泉所得税の納期の特例の届出書
5.減価償却資産の償却方法の届出(定率法を選択する場合のみ・翌年3/15まで)
6.償却資産の申告書(翌年1/31まで)
開業時には下記を留意します。
税法上の「開業費」の扱いに注意します。開業費とは開業前に特別にかかった費用です。代表的なものとして、開業までにかかった旅費・交通費・宣伝費です。この開業費は開業後5年以内であればいくらでも費用にできます。後日の税務調査に備えて、領収書のほかに目的や相手先を記載しておくことが望ましいでしょう。
A.当初の利益率を目標としては15%から20%くらいを目指します。
当初は特に技工や歯科材料の売上比率に留意してください。(無駄・むら等により比較的高くなりがちです。材料費6から8%・技工10から12%くらいが理想です)
売上と経費のおおよそのバランスですが、下記のようになっています。
当初の目標は15%から20%を目指しますが、1年から2年くらいで下記をおおよその目標とします。