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●よくある事例とその解決策(経営編)

Q1. 「利益のわりには現金が残らないのだけれど。」

A .原因としては下記のようなケースが考えられます。

  1. 保険診療の入金はレセプト請求の2ヶ月後のため、2ヶ月前の社会保険診療の売上が少ないと入金が少なくなります。
    (従って資金繰りを考える際は保険収入主体の医院は2ヶ月前の診療点数を把握する必要があります)
  2. 大きな設備等を購入した時、経費化されるのは減価償却によるので、数年を要します。そのため融資を受けた場合は、減価償却の範囲で返済すると資金繰りが良くなります。
    例えば、年間返済額が500万、減価償却費が年間700万の医院は、利益以上の資金が溜まる傾向にあると言えます。
    一方、年間返済額が700万、減価償却費が年間500万の医院は、利益より資金が溜まりにくい傾向にあると言えます。
  3. 借入金の返済がある場合は借入元金の部分は経費にはなりません。あくまでも利息の金額のみ経費に入ります。そのため、返済が進むほど、返済が同じにもかかわらず、経費にはいる金額が減ることがあります。また、上記とは逆の理由で、返済があるにも関わらず、耐用年数を超過したため減価償却費がない場合は、特に利益より資金が溜まりにくい傾向にあると言えます。
    例えば、年間償却費500万(耐用年数5年)、年間返済額250万(返済期間10年)
    この場合、当初の5年間は償却額より返済額が少ないため利益に比べて資金は溜まりやすいと言えますが、6年目以降は耐用年数を超過している為、償却額が0になり、返済額の方が大きくなる為、利益に比べて資金は溜まりにくいと言えます。
  4. 個人医院で、個人的な費用が大きいため。(所得や住民税などの税金、自宅のローン・生活費・教育費・生命保険など)
    従いまして、経費外経費を把握する必要があります。
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Q2. 「毎月どのような点を分析すればよいですか?」

A.売上の増減を件数、診療日数、診療点数、来院回数の4つの要因に分けて分析し増減の理由を解明する必要があります。
売上が増加している場合はそれほど問題はありませんが、減少している場合は原因を追究して改善する必要があります。そのため単純に売上の金額を分析するのでなく、減少した金額の原因を追究します。その分析に使用するのが、診療日数、診療点数、来院回数、レセプト枚数です。たとえば前月と比較して売上が100万円減少したとします。その原因を「なんとなく」でなく金額と数字によって明確にしていくのです。同じ100万円の減少であってもその原因は医院によってさまざまです。下記のケースはいかがでしょうか?

●ケース1 診療日数の減少が大きい場合
特に問題はないのではないでしょうか?夏休み、年末年始、祭日などが原因でしょうか?それ以外の理由でしたら改善策が必要です。

●ケース2 来院回数の減少が大きい場合
アポイントのとり方に問題はないでしょうか?また、中断者、アポイントの変更をされた患者の扱い方に問題はないでしょうか。キャンセル率を確認します。キャンセル率が10%を大幅に超える場合は、電話やメールなどの対策を考えましょう。
また、キャンセル数は、連絡ありと無断キャンセルと分けて分析ください。特に無断キャンセルの数が増加傾向にある場合は改善が必要です。

●ケース3 件数が大幅に減少した場合
慢性的に減少している場合は、根本的な問題です。もう一度、診療所をチェックし、改善事項を早急に改善しましょう。治療予約、リコール予約の人数、新患者、再初診人数をまず確認するべきでしょう。

●ケース4 1回あたりの点数が大幅に減少した場合
点数のもれや、勤務医のかたの治療の方法に問題はないでしょうか?
また治療内容を考えてアポイントをとっているでしょうか?

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Q3. 「リコールはどのくらいの頻度で出すべきなの?」

A.リコールとは定期健診のことです。治療終了後一定期間後に再度診察を受けて頂き、口腔内の健康を維持する為のシステムです。今後、人口は減少し、むし歯は減少と言われていますが歯周病患者はかなり多い事実もあります。そのためリコールは歯科医院経営には必要不可欠です。
また、衛生士の数を確保し、メンテナンスに力を入れるのであればリコールの頻度を治療の終了後1ヶ月から3ヶ月に設定してもいいでしょう。それ以外のケースですと通常治療の終了後3ヶ月から6ヶ月でOKです。

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Q4. 「リコールすることにより何%くらいの患者が来院すればよいですか?」

A.ズバリ、最低30%以上でしょう。できれば40%は欲しいところです。
おおよそ患者の7割は痛みや違和感、激痛があるときのみ歯科医院に来院する傾向にあるようです。残りの3割の患者は定期的に検査に来院します。この3割のうち2割はリコール等の歯科医院の呼びかけでなく自発的に来院するようです。そのため最低でも2割・そして+10%以上をリコール等により来院を促すことが重要になります。
リコールを行う場合のポイントですが、3つあります。(次頁参照)

☆リコールを行う場合のポイント
第一に言い回しに気をつけるということです。ずばり、大げさな言葉は問題がありますが、「危険回避」につながる言い回しが一番です。人間の心理は、気持ちが良いことより「危険回避」が一番脳裏に残るからです。したがって、「歯周病は病気です」・「子供の虫歯は永久歯に影響しますなど」の言い回しはどうでしょうか。
次に、回数を増やすことです。一度見ただけでは、脳裏に残りません。短期間のうちに数回出すと、不思議と脳裏に残るものです。そのため、1ヶ月後に来院されない場合は、追加的に出すといいでしょう。
または、治療終了後に次のアポイントを取ってしまうことも良いかもしれません。勿論、数か月先になりますので、リコールのお知らせの手紙と来院日を記載します。電話やメールも合わせて行っても良いかもしれません。これを数年続けるとメンテナンスの予約の枠が一杯になってきます。
来院までのアクションをできる限り増やすことです。下記ですと3回になります。
①終了後のアポイント ②リコールの手紙 ③メール等による連絡。
最後に信頼性を強調する。これはリコールのみならず広告宣伝にも共通しますが、信頼性は重要です。たとえば、院長・スタッフが一筆記載するのも良いかもしれません。これだけでも信頼性はもとより、一通の手紙に温かみも生じます。
地域密着(学校医のアピール)・営業暦(開業してから20年、親子2代で40年)・大学院の非常勤医を主張したり、限定的でもかまわないので医院の良いところを主張すると良いでしょう。

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Q5. 「よく目標とする利益率を設定しましょうといいますが、何%?」

A.ズバリ、目指せ利益率40%でしょう。
内訳ですが、歯科材料・技工で20%、人件費で20%、家賃で10%、その他の費用で15%と算定し利益は35%となります。従って目標は40%を目安にします。
その他の費用には福利厚生、交通費、水道光熱費、リース料、衛生費等が入ります。したがって院長先生の取り分はこの利益の35%から返済を差し引いた金額になります。月の売上が400万で140万、500万で175万といった金額から返済を引いた金額になります。

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Q6. 「医院のブランドをつくるのにはどうすればよいですか?」

A.これはかなり難しいです。まず、その地域で認められることが前提ですが、ブランドイメージは歯科業界に限らず、重要なファクターです。言い方をかえると、ブランドイメージを定着させることにより「予想以上の影響を患者やライバルである他の歯科医院に与えること」と言えます。
イメージを浸透させる方法は、患者を多く集めることと診療を特化(自由診療)することの2つがあります。
どちらも難しいですが、イメージ戦略に成功すると競合医院と比較してかなり有利になると思われます。
具体的には患者の数で言えば近隣の歯科医院の1.7倍から2倍の患者を確保できれば、評判の良い歯科医院といったブランドイメージは確立できるのではないでしょうか?(実際には2倍程度であっても、患者側からは近隣の歯科医院と比較して3倍から4倍もの患者さんがいらっしゃる評判のよい歯科医院に映っているはずです)
また、自由診療の症例でいえば、3倍から4倍行なうと、○○に定評のある歯科医院などブランドイメージは定着するのではないでしょうか(上記と同様に患者側からは、近隣の歯科医院と比較して6倍から8倍もの患者さんが○○の治療でいらっしゃる評判のよい歯科医院に映っているはずです)。
他には待ち合わせ場所になるような看板を置いたり、歯の置物を置いたり、大きな植栽を置いたりするのも良いかもしれません。

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Q7. 「月々の返済はどのくらいを目安にすればよいか?」

A. ズバリ、月々の返済を月の売上の10%以内にします。
返済期間はできるだけ長くとることを心がけます。できれば10年以上がよいと思われますが、現実には担保や保証人の問題で、運転資金は5年、設備資金は7年程度が多いと思われます。したがって、諸事情により設備資金の返済期間が7年より短い場合はリースを組むほうが良いこともあります。また、一般的には融資よりリースのほうが審査は甘いことが多いです。
利益率のところでも説明しましたが、利益率は40%が理想となります。したがって400万の売上で返済が100万(売上の25%)の場合は
40%(利益)-25%(返済)=15%(残額)
上記より売上のおよそ15%ほどが現金として残ることになります。この15%ではかなり資金繰りを圧迫する形になります。
そのため開業時は特に、売上の10%程度になるような資金の調達や返済計画を立てる必要があります。
また、銀行サイドでも、おおよそ月々の利益と減価償却費を足して、そこから生活費を差し引いた残金を月々返済の上限としているはずです。たとえば、月々の利益が100万円、生活費80万円、減価償却が20万円としますと月々の返済の上限は
100(利益)+20(減価償却費)-80(生活費)=40万円 となります。

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Q8. 「診療所の広さはどのくらいがよいですか?」

A.診療室はユニットの必要数+1の広さ、待合室はおおよそユニットの数の2倍程度の患者が待機することを想定します。
予備のユニットは患者の増加に備えます。当初は、配管のみでよいと思われます。待合室は歯科医院の顔ですからできる限り広く、清潔なことが望まれます。
すべての業種にいえますが、家賃を支払いながら営業をすることは難しいといえます。
歯科医院の家賃は月の売上の10%以下が望ましいと思われます。

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Q9. 「ユニットの稼働率は実際はどのくらいなのですか?」

A.ユニット一台当たりの患者数は、医院の収入によって上下します。下は 医院の月間収入別に当事務所が集計したユニット一台当たりの一日の患者数です。稼働率を毎月算定し、アポイントのとり方に問題がないかチェックする必要があります。

新規開業 ⇒ 4.88人   200万円 ⇒ 6.58人   300万円 ⇒ 7.64人
400万円 ⇒ 9.58人   500万円 ⇒ 9.12人   600万円 ⇒ 11.05人
700万円 ⇒ 9.45人   900万円 ⇒ 10.95人

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Q10. 「アポイントの入れ方はどうしたら?」

A.上のQ&Aと連動するのですが、一日で平均するとユニット1台あたり1時間に一人程度になります。実際は治療ごとに15分または30分、45分単位で取るようにします。
混雑する時間帯は30分弱に一人程度になってしまいますので、衛生士の数を確保する事が必要になるでしょう。
仮に月来院回数の平均が下がっていたり、極端に他の医院と比較し低い場合はアポイントのとり方が悪い場合があります。
また中断率は10%以下を心がけます。あまりにもキャンセルが多い場合は、電話にてお知らせすることも視野にいれます。
必ず、治療予約数、リコール予約数、治療来院患者数、リコール来院患者数、電話キャンセルあり、無断キャンセルの人数の集計が必要です。

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Q11. 「従業員の患者さんへの対応が良くないのはどうしたら改善できるの?」

A.これは主に若年層の衛生士や歯科助手の方をお雇いになった場合に起きる問題です。要因としては、学校を卒業したばかりで社会一般常識に乏しい上に、医院側としてもキチンとした社員教育を受けさせる事ができない、等にあります。
一流ホテルのスタッフが礼儀正しいのは当然と思われますが、マクドナルドのスタッフもそれほど悪くはないと思われます。おそらくアルバイトの主流は社会人経験のない10代の方と思われますが、未経験者さえもすぐに戦力にできるマクドナルドのスタッフ教育には頭が下がる思いです。新人スタッフを教育しつつ一定水準のサービスを提供し続けるためには、マニュアルの存在が大きいようです。
マクドナルドを例に出しましたが、歯科医院についても、マニュアルを作成し、社員教育を徹底させる必要があります。この際、おおまかではなく詳細に記載することが望まれます。院長先生とスタッフとの価値観は想像以上に違うものです。
「詳細に記載する」とは具体的には次頁のような内容になります(次頁は、歯科医院のマニュアルの一例です。

歯科医院のマニュアルの一例

  1. 働く時はあらかじめ計画を立てて働くこと。
    ※仕事の計画には二つの目標が必要で、一つは仕事への姿勢であり、もう一つは仕事をどのように完成するか、働きの質である。この、仕事への姿勢と働きの質については、日々心がけるべきである。
  2. 業務に必要な知識を早く覚えること。
    ※業務のミスは、業務の流れや、手続きを理解してないことになる。解らない事は何でも、院長又は先輩に聞く勇気を持つ。いい加減な知識で仕事をすることは、間違いの原因でもあり、又、そのような態度ではいつになっても正確に知識は得られない。
  3. 院長及び所属長の指示に素直に従うこと。
    ※上司からの命令や指示があったときは、素直にそれに従って仕事を進めること。命令や指示が十分理解できない時は良く聞いて、解らない点は十分に教えてもらうようにすべきである。早合点して間違いを起こすことは一番非能率なことである。
  4. 業務の段取りを決めること。
    ※仕事をする前に手順を立て、特に手順を間違えないようにすること。
  5. 業務の工夫をすること。
    ※仕事の方法は何通りも考えられるが、一番早く正確にできる方法を工夫すること。今までのやり方より、より良い方法が見つかった時は、院長・同僚などに相談して改善に心がけること。
  6. 職場の整理整頓
    ※職場が良く整頓されていると仕事がやりやすい。乱雑な職場はつまらないことに手間取ったり、必要なものが紛失することになる。整理整頓は、日時を決めて定期的に実施すること。必ず一日一回のチェックを習慣づけるよう心掛けるべきである。
  7. 業務上の協調・連絡
    ※当会の全てのセクションには全て業務上関係がある。綿密な連絡が取れるように、常日頃から気をつけて、協調的な関係を作っておくことが肝要である。どんな場合でも感情的な対立にならないよう 「院内ムード」 を一人一人が作り上げる努力をすべきである。
  8. 同僚と協力・後輩を指導・上司には協調を主旨とする。
  9. 静かに執務すること。
    ※大声、笑い声は他人の迷惑となる。あくび・背伸びなどは慎むこと。
  10. 勤務中のムダ話は慎むこと。
  11. 機材等は使うものだけを出しておくこと。
  12. 共用のものは使ったら戻すこと。
  13. 備品は自分の持ち物と思って大切に使うこと。
  14. 自分に必要な用具は必ず点検しておくこと。
  15. 動作は俊活に、言語はハッキリと、礼儀正しく、ファイトと情熱を持って日々働くこと。
  16. 医療機材は大切な資産である。材料、備品など一つ一つに愛着を持て。
  17. ちょっとした不注意から、取り返しのつかない火災を起こす。常に、帰る時に電気・ガス・火の元に対する点検を心掛けること。
  18. 破損、紛失のあった時は、速やかに申し出ること。
  19. 清潔で明るい職場作りを心掛けよ。

医院それぞれの「服務マニュアル」を作成される事をお薦めします。細かいことを決め遵守していくことが世代のギャップを埋める手段のひとつになるからです。

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Q12. 「採用時の雇用契約書はどうやって作ればよいですか?」

A.最低限のことを記載すればよいのではないでしょうか?おおよそ下記のようになると思われます。

労働条件通知書

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Q13. 「うちの医院は人件費がかかりすぎていない?」

A.通常、売上に対して20%以内(専従者給与を除く)を目標にすれば問題ないでしょう。保険診療中心の診療所では、患者1日15人程度でスタッフ2名、30人程度でスタッフ3名くらいになります。
予防歯科に力を入れ衛生士が充実している歯科医院は、25%くらいの人件費率となります。その分、歯科材料費や歯科技工代金が他の歯科医院より低くなっていると思われます。
また、歯科医師の給与体系が歩合の場合ですが、保険診療に対して20%から25%、自費診療に対して25%から30%を目安に給与を支払うと良いと思われます。
特に留意すべきパターンが2つあります。1つは売上が上昇している医院です。売上の上昇時はかなり忙しいこともあり、人件費を増加する傾向になりますが、売上の増加以上に人件費が増加している場合があります。
粗利益の増加と人件費の増加をまず比べてください。次に人件費の比率の増加を確認ください。目標は人件費の増加後についても売上と人件費の比率は売上の増加時も20%以内とします。
2つ目は、売上の増加を見込んで人件費を増員するケースも留意が必要です。数ヶ月、1年経過しても売上が予定通りに増えない場合は、人員の対処が必要になります。

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Q14. 「クレジットカードの導入はしたほうがよいでしょうか?」

A.医院の総売上に占める自由診療の割合が30%を超えたら、クレジットカードの導入を考えたほうが良いと思われます。
保険診療ですと自己負担の割合は3割程度ですからそれほど負担感を感じません。しかし、自費になりますと負担感を感じます。また、現在では銀行での引き出し制限や振込み制限等があります。

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Q15. 「自費診療を増やすためにはどうすればよいですか?」

A.スタッフの教育、内装の改修、クレジットカードの導入、ホームページの作成が考えられます。
同じ歯科医院であっても保険診療中心の医院と自費収入主体の医院では患者の数、患者の層が相違します。保険診療を中心に行う過程で自由診療が一時的に増えることはありますが、継続性は無いと思われます。そのため自費診療の割合が総売上の3割を超え、今後、自由診療の割合を50%前後に増やす方針の医院は、スタッフの教育等をしっかり行う必要があります。

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Q16. 「競争社会の中、増患対策はないですか?」

A.下記が増患対策の一部です。

  1. 自由診療の3年間から5年間の「保証書」 を発行する。
  2. 患者の紹介を受けたときは院長自ら御礼を必ず言うようにする(お礼に合わせて粗品を提供する)。患者紹介カードを作る。(一般企業では当然のことです)
  3. 受け付けの電話の応対は、待合室にいる患者が聞いていることを前提に応対する。取引業者や営業の方への接し方も同様に待合室にいる患者が聞いていることを前提に応対する。
  4. 医療費控除のパンフレットを置く。または自由診療をされた方には、終了時に手渡しする。
  5. 医院のパンフレットを置く。患者が紹介したくなるようなパンフレットを作成する。
  6. 院長・スタッフの名前がわかるようにする。(名札・掲示をつける)
  7. 電話は3コール以内に出るようにする。また留守番電話には休診日と診療時間を伝える。
  8. リコールには一言コメントを必ず記載する。子供のものはデザインを変える。
  9. 患者に渡す名刺は、デザイン・紙質に気をつける。地図・診療時間を必ず載せる。
  10. 治療中に私語は禁止する。特に患者が気になるようなことは絶対しない。
  11. 自由診療の金額を明確にする。視覚化できるように模型・映像・自由診療の治療内容のパンフレットを作成する。
  12. 保険・自費問わず、十分な説明に心がける。(ポイントは期間と費用と治療の進め方)
    視覚的要素を用いて説明する。(治療説明のリーフレット・デジタルレントゲン・口腔内カメラ)
  13. 衛生管理を徹底する。
    医院の衛生管理の方針を掲示する。(治療用ゴム手袋の交換・医療器具の滅菌方法など)
  14. 無痛治療の掲示。(無痛に対する医院の取り組みを掲示する)
    電動注射器の使用・笑気吸入鎮静法の使用・エアーアブレーションの使用・レーザー使用・カリソルブの使用
  15. 会計業務をすばやくすること。
  16. クレジットカードや歯科ローンの導入。
  17. 地域医療として子供向けのセミナーを開催する。
    (矯正治療をしないようにするコツ・ブラッシング指導・虫歯にならない工夫)
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Q17. 「診療所の中ではなにをチェックすればよいでしょうか?」

A.診療内でチェックするべき事項は数多くありますが、具体的には下記のような事項があります。
歯科医院のここ数年の収入は2極化になりつつあります。所得が3000万以上の歯科医院が2割、一方、1000万以下が30%と所得差が3倍以上になりつつあります。
厚生労働省が発表する歯科の受療率はおおよそ1%に対し、有訴者率は4%弱あると言われています(有訴者とは、入院者を除く世帯員のうち、病気やけが等で自覚症状のある者をいいます)。従って潜在的な患者はかなり存在するといえます。そこでこれからの歯科医院は下記のことに留意し、増患対策をする必要があります。

1.衛生面の強化を図ります。

  • ゴム手袋の交換の実施
  • 滅菌方法の掲示またはパンフレットによるお知らせ
  • X線防護服の着用のお知らせ

2.痛み対策を行います。

  • 電動注射器の利用
  • レーザー治療の実施
  • 無痛治療の掲示
  • 病状と麻酔方法の掲示

3.スタッフの対応の改善

  • 受付の挨拶・応対
  • 問診票の内容・記載してもらうときの言い回し及びお礼
  • 名札の着用
  • 服務規程の遵守
  • 他の患者さんとの受付での会話
  • 患者との電話応対
  • 飛び込み営業や業者への受付の対応
  • 診療室への誘導方法
  • 老人への対応
  • 障害者への対応
  • 私語

4.待合室の改善

  • 天井・蛍光灯・床・ドアの汚れ・スリッパの汚れ・待合室のイス・ソファーの汚れ(清掃を毎日行い、確認していますか?)
  • 雑誌の量・配置(10分以上待つかたがその間何をしているか観察してみる。自分が持ってきた本を読む・寝る・何もしない・話す・携帯を見る・ゲームをするなど)
  • BGM
  • 蛍光灯の明るさ(診療所に暗いイメージはないか?)
  • 掲示物(色合。定期的な更新が行なわれているか)
  • プライバシー(ソファーなどが患者同士に触れない程度の配置になっているか?病名などが患者に聞こえないか?)
  • 情報提供の改善
    ① 待合室内のパンフレット・名刺 ② 期間と費用のホームページや院内掲示でのお知らせ(保険の場合は目安)③ 治療説明のリーフレットの配布 ④ ビジュアル的な説明(模型・デジタルなど)
  • 医療機器の改善 機器・設備の更新時の掲示
  • 診療室での改善
    ① 診療室の清掃状況 ② 診療時の服装の清潔感(爪・髪・髭・靴など)③ 歯科医師と患者との会話 ④ 歯科医師とスタッフとの指示の出し方 ⑤ 患者への挨拶・応対
  • 会計の改善
    ① 時間の短縮 ② 医療費控除のリーフレットの配布 ③ 支払い方法の明示 ④ 次回の料金の目安 ⑤ 治療後の留意点のお知らせ
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Q18. 「電話帳広告・駅看板・電柱広告はどうでしょうか?」

A.まず、それぞれの広告の特徴を知る必要があります。

1.駅看板

  • 駅には多くの看板があり、特段に印象に残るケースは少ないです。
  • 乗客の反復的な宣伝効果に潜在的にその存在をアピールできます。
  • 一過性のものでなく、半永久的な広告が可能です。
  • 駅を選択することにより対象を選択することができます。

2.電話帳広告

  • 地域を選択できます。
  • 半永久的に広告できます。
  • 電話帳で調べる人はあまりいません。ほとんどが、夜間診療・日曜診療・緊急時など特定の時期に調べる傾向があります。また、口臭予防、訪問看護など口コミとしての期待がうすいものについては電話帳広告は威力を発揮します(医科では肛門科・泌尿器科・美容整形など)

3.電柱広告

  • 患者を誘導するのに役立ちます。
  • 地域を選択できます。
  • 半永久的に広告できます。
  • 広告料が比較的安いです。
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Q19. 「診療所の売買はどのくらいの金額が目安となりますか?」

A.ケースバイケースですが、下記に留意点を記載します。金額については医療機器等の資産と月の売上の2ヶ月分~6ヶ月分程度の合計を目安に考えればよいでしょうか。その際、下記に留意します。

  1. 患者を引き継げる体制があるか。(旧院長のバックアップが必要です。特に旧院長が移転の場合は留意が必要です。)
  2. カルテの入手は可能か?(レセコンの使い方やデータの移行は可能か?)
  3. 旧院長からの引継ぎ期間はあるか?
  4. 保険請求につき遡及願いの提出は可能か?
    (診療所を買い取る場合、社会保険の認定医の申請の手続き上、原則、新しい管理者が6ヶ月前から勤務医か、旧管理者が、非常勤にて勤務しない限り、1ヶ月間、保険請求できなくなります)
  5. 労働者名簿を確認したか?また、給与台帳にて年齢、経験、給与水準等の確認ができるか?
  6. 自由診療の内容(将来、負債になるような患者が潜在していないか)
  7. 案内状に前院長の氏名を記載できるか?
  8. なぜ売却するのか?その理由は?(病気・死亡・高齢化・院長の転職・ 業績不振など理由を確認します)
  9. 診療所の賃貸借契約につき大家の了解は得られるか。家賃の金額は同額か?保証金は必要か?契約期間は?
  10. 確定申告書の3年分のコピーや総勘定元帳を入手できるか。税務資料を確認することで売上の確認を行います。
  11. 3年分の社会保険・国民健康保険の支払調書を入手できるか。支払調書を確認することで社会保険診療収入の確認を行います。
  12. 償却資産の申告書の3年分のコピーを入手できるか。申告書を確認することで診療所内にある資産の確認を行います。
  13. 内装やユニットなどの医療機器はそのまま使えるか?
  14. 資金の回収はおおよそ3年から5年くらいで行なうつもりがよいでしょう。
  15. リース物件はないか?(ある場合はリース契約書を確認し、買取か、契約の引継ぎが必要です)
  16. 従業員の引継ぎ(一度、解雇の形をとり、再度、入社の形をとります。引継ぎに賛成していなかったり、新院長と合わない従業員は引き継がない。給与の支払は必ず、前医院で精算する形をとる)
  17. 簿外の負債があった場合は、必ず前の医院の責任の下返済するようにする。
  18. 税金を考えます。(売却する側が個人診療所とします)
    買い取る側は営業権となり5年間で経費に入ります。機材ですと中古資産になりおそらく耐用年数は2年程度になるでしょうか。
    個人診療所が売る場合ですが、ユニット等の医療機器や営業権の譲渡は譲渡所得となり所得期間が5年以上の所有であれば利益の1/2が税金の対象となります。
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Q20. 「医療法人設立時に必要な書類を教えてください」

A.医療法人設立の際に決めなければならない事項及び必要書類は以下の通りです。

【医療法人設立の際の決定事項・必要書類】

  1. 医療法人名を決める必要があります
  2. 決算期を決めます
  3. 理事を2名以上
  4. 理事長を1名
  5. 監事を1名
  6. 社員を3名(通常は上記、理事・監事・理事長がなります)
  7. 預金の残高証明書(基準日現在のものが必要になります)
  8. 社会保険診療報酬の決定書(基準日とその前月)
  9. 在庫表(基準日現在)
  10. リース契約書及びリース返済予定表
  11. 診療所の建物平面図(開設届けに添付したもの)
  12. 診療所の概略図(最寄駅からの地図となります)
  13. 診療所の登記簿謄本(家屋)
  14. 建物賃貸借契約書のコピー
  15. オーナーとの覚書(オーナー様にまず法人になることをお伝えください)
  16. 履歴書(理事・監事・理事長)
  17. 印鑑証明(理事・監事・理事長)
  18. 理事で歯科医師のかたは免許書のコピー、衛生士のかたも同様に衛生士免許書のコピー
  19. 診療所の開設届けのコピー
  20. 2年分の確定申告書
  21. 設備資金にかかる金銭貸借契約書及び返済予定表
  22. 設備資金にかかる領収書または振り込み書等
  23. その他
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