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●よくある事例とその解決策(税務編)

Q1. 「調査の時に備えて日頃から気をつけているべき事って何?」

A.税務調査対策は税務調査が入ってからでは遅いのです。日頃から気を付けていなければ間に合いません。税務署が調査時に見るところはおおよそ下記になります。

・アポ帳と売上の対応関係
アポイントがあるのに売上が無いときの事情の確認作業を行います。(キャンセルがあった場合はわかるようにすることが重要です)

・技工指示書と売上の対応関係
技工指示書を見て、売上に計上されているかどうかの確認作業を行います。

・保険窓口負担金の入金額の妥当性
保険の窓口負担金は、保険点数の0割から3割ですが、保険点数から保険窓口負担金の理論値の算定を行い、実際の窓口負担金との差額が大きい場合は、その原因の確認作業を行います。(値引き台帳を作成し、値引きであることがわかるようにすることが重要です)

・医療費控除につかった領収書と売上の関係
患者が医療費控除で使用した領収書が、医院の売上に計上されているかの確認作業と、患者が医療費控除で使用した領収書に2種類以上ある場合(例えば、領収書の色の相違、形式の相違)は、それぞれの領収書の使用状況の確認作業を行ないます。

・金属くずの処理と売上の関係
金属くずは医院に技工所があり再利用する場合以外は、通常、売却しますので、その売上代金が売上に計上されているかどうかの確認作業を行ないます。

・福利厚生費の妥当性

  1. 曜日(休診日に使用する合理的な理由があるか)
  2. 領収書の宛名はあるか
  3. 連続性があるかないか?差し入れは良いですが、飲食が連続している場合は、問題があります。(夕食や昼食を毎日支出している場合など)
  4. 食品、飲食物の場合は、購入する場所は自宅に近いか診療所に近いか?

・交際費の妥当性

  1. 接待する相手方は誰か?
  2. 領収書の宛名はあるか?
  3. 商品券 郵送か手渡しか?誰に贈答したか?
  4. 接待する目的はなにか?
  5. 金額は社会通念上妥当か?

・専従者給与の妥当性

  1. 勤務状況はどうか?勤務できる状況か?(子供の年齢、他の職業の状況)
  2. 支払いは実際にされているか?
  3. 金額の大小(利益に占める割合・金額にして500万以上かどうかなど)

・諸会費などの経理処理の確認

  1. 生命保険が含まれていないか?
  2. 政治連盟の会費が含まれていないか?
  3. 共済負担金が含まれていないか?
  4. 歯科医師年金の保険料が含まれていないか?

・車両を使うことの妥当性

  1. 通勤手当は支給しない
  2. 医院の側に駐車場があるか?
  3. 通勤以外で使用するか?

・自由診療の単価の確認
同じ自由診療につき売上単価を確認します。すなわち、同じ治療をしているのに売上の金額が違いすぎるものがないかを調べるということです。具体的には、社会通念上考えられる値引きは別として大幅な値引きがないか?値引きの相手先の確認作業を行います。

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Q2. 「税務署ってどういうところですか?」

A. 「税務署は怖い」このように感じている方は非常に多いと思われます。
でもよく考えてみてください。なにか後ろめたいことがある方以外は全く怖れる必要はないのです。例えば「警察」はどうでしょうか?犯罪者は怖いかもしれませんが一般の区民は最も安心できる存在なのです。
税務署と警察署が同じとはいいませんが、似ている点もあるのです。両者とも怖くはないという点です。

(1)税務署の内部事情
調査の責任者は税務署長ですが、調査する部門に統括官・上席・調査官がおります。
通常は上席・調査官が実務的な調査を行います。
一般的には統括官が調査対象会社を数十社選び、上席・調査官が実際に調査します。
会社を30社程度選択します。民間の会社でいうと統括は課長・上席は係長といった感じです。

(2)調査を受ける際には、部署と地位を確認しましょう 
調査する部門は通常は法人課税○○または個人課税○○ですが、稀に特別国税調査官といった肩書きの方が調査することがあります。
この特別国税調査官ですが調査を専門とする部署になっております。また、調査の時に統括管、上席、調査官の地位の確認と人数を聞いてみるのもよいでしょう。
税務署の規模にもよりますが1部門5人から10人くらいの税務署が多くなっております。

(3)異動の時期は7月ぐらいです 
7月が税務署の異動の時期です。そのため7月から12月ぐらいに本格的な調査が始まります。
12月から3月は、個人の確定申告が始まりますのでほとんど調査はありません。そのためこの時期に調査がある場合は税務署側で何らかの確証がある場合が多くなっています。3月から7月は調査件数の調整の時期ですのであまり時間的余裕もありませんのであまり厳しい調査はしないでしょう。

(4)税務署職員とはどういった方でしょうか

  1. 退職後は税理士として独立する方もいます。
  2. 20代から30代の方は就職難から税務署に入社した方も結構います。
  3. 国家公務員第3種の試験を合格して入社しています。
  4. 毎年300人から400人募集しています。
  5. 国家公務員第3種の合格者の過半数は高卒が多いです。
  6. 税務署の別の入社口として国税専門官として入社することも可能です。主に大型の調査・査察を行います。
  7. 調査する部門の上席ですが年齢が40歳後半ですと出世という点からは先がないと考えられます。逆に30代ですと出世も十分可能であり税務調査についても厳しくなる可能性があります。
  8. 民間企業ではなくて公務員です。
  9. 専門知識
    ・横並びのため業務を遂行するうえでの平均的な知識及び教養はあります。
    ・税務の詳細や理論的な知識は乏しい方が多いです。そういった知識は審査部門が請け負うことが多いです。
    ・ 税務調査において効率的に否認額を獲得する手法を知っています。

(5)税務署内での職員の評価はどう行われているでしょうか?

  1. 統括や上司に報告する必要があります。(決まった方法・様式での報告書を記載しなれければなりません)
  2. 調査時間の長さと税額は比例の関係にあります。(時間をかけた調査はそれに見合う否認額を取る必要があります)
  3. 税額のノルマはないが否認額がゼロだと税務署内では問題あり。(基本的には統括官が税務調査の対象会社を選択していて、否認額のでる可能性のある会社を選択しているため)
  4. 調査件数のノルマがあります。( したがって効率よく調査をこなす必要があります)
  5. 公正妥当な税の執行上、重加算税を賦課することは評価があがります。
  6. 否認をとって税務署職員としての業務が達成できるのも当然です。(指導だけでは評価は低くなる)
    この 否認とは税額でなく否認する所得を意味します。たとえば、欠損会社で1000万否認(増加税額なし)、黒字会社で1000万否認(増加税額400万)は同等な評価になります。
  7. 税務調査に入った会社ではなく他の会社につき税務調査に使える資料を集める必要があります。
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Q3. 「医療費控除のお知らせはどのように作成すればよいですか?」

A.下記のような内容で良いと思われます。
保険診療以外の自由診療も医療費控除の対象となり税金が還付されます。
(この記載が重要です。自由診療が医療費控除の対象外と思われている方が結構いらっしゃいます)

・ 医療費控除とは
医療費控除とは、自分や家族のために医療費を支払った場合に所得金額から一定の金額を差し引くもの(所得控除)で、控除を受けた金額に応じて所得税が軽減または還付されます。歯列矯正も不正咬合の改善のように容貌を美化したりする美容整形のためのものでない限り、医療費控除の対象になります。(大人の場合は説明を求められるか、診断書が必要な場合がありますが、おおよそ控除の対象になると思われます)
当然、金冠や人口歯なども医療費控除の対象になります。(その病状に照らして相応であり、その費用も一般的な水準であることが条件です)

・対象となる医療費

  1. その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費であること。
  2. 医療費控除となる金額は、(支払った医療費の合計 - 生命保険などで支給される入院費や健康保険などで支給される家族療養費や出産1 時金など) -10万円となり、最高200万円までとなっています。(この記載も重要です。医療費の金額が年間210万円を超えると控除の対象になりません。超える場合は治療の進行状況を変えたり、世帯に収入のあるかたが他にいればそのかたに支払ってもらったり、支払いを翌年にする工夫もよいでしょう)
  3. 所得金額が200万円までの人はその5%の金額となります。
  4. 通院費(診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに金額を記録しておくようにしてください。通院費として認められるのは交通機関などを利用したときで、高速代や自家用車のガソリン代は対象になりません)

・対象とならないもの

  1. 歯ブラシや歯磨き材の購入費
  2. 健康診断の費用
  3. ビタミン剤などの健康薬品
  4. 美容整形の費用

・医療費控除の受け方
年末調整ではできませんのでお住まいのお近くの税務署に確定申告をすることにより還付または税額の軽減を受けることが可能です。

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Q4.「同じくらいの規模の歯科診療所の専従者給与の金額って?」

A.専従者の勤務状況や医院の収入によってかなりの上下幅があり、また専従者が・助手・衛生士・歯科医師 によっても違ってきます。
調査でよく言われるのは年間500万円以上の方や、勤務実績が皆無の場合でしょう。ただ、金額の妥当性は難しく、税務署側も否認は難しいと思われます。そのため、まず支払うこと(振り込みがBESTです)・また勤務できる状態であること(たとえば他から給与をもらっている場合や海外に留学していたり、妊娠中ですと金額を下げたり、支払いを停止する必要があるでしょう)が必要です。

▼ 金額の妥当性につき参考にするとしたらですが、下記は医院の月間収入に応じて当事務所が集計した月給の金額です。
・ 助手
収入300万円 ⇒ 月給20万円~   収入600万円 ⇒ 月給30万円~

・ 衛生士
収入300万円 ⇒ 月給30万円~   収入600万円 ⇒ 月給45万円~

・ 歯科医師
収入300万円 ⇒ 月給50万円~   収入600万円 ⇒ 月給60万円~

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Q5. 「よく交際費は金額に注意と言われるけど、どのくらいの金額だったらいいの?」

A. 原則的には金額でいくらくらいならOKというものは存在しません。税務署ではよく、交際費は業務に直結する必要があり、売上に貢献するもののみ認められるというケースが多いです。
しかし、なかなか直結するものや売上に明らかに貢献する支払いというのはなかなか証明することや説明することは難しいと思われます。但し、逆に税務署も明らかに交際費でないと断定するのも難しいと思われます。
そのため具体的には交際費について相手先や目的を帳簿または領収書に記載すると良いでしょう。これが重要であり税務調査の時に非常に役にたちます。参考までに、下は医院の月間収入によっての当事務所が集計した金額です。

新規開業 ⇒ 10万円
200万円 ⇒ 7万円
300万円 ⇒ 10万円
400万円 ⇒ 12万円
500万円 ⇒ 12万円
600万円 ⇒ 18万円
700万円 ⇒ 19万円
900万円 ⇒ 22万円

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Q6. 「医院の経営もある程度安定してきたと思うのですが、医療法人の設立はどのタイミングで考えるべきなの?」

A. 医療法人を作る最大のメリットは節税対策にありますが、それ以外にも医療法人の設立のタイミングが存在します。

1) 院長の課税所得が2,000万円を超え、年々上昇傾向である。
2) 分院を持ちたい。
3) 事業承継を考えている。
また、歯科医院を開業して数年を経て、経営状態が一応の安定を迎えた時に考えるのが「医療法人の設立」だと思います。「医療法人の設立」には様々なメリット・デメリットが存在します。

下記は医療法人設立の主なメリットです(※は個人のままの場合)
○医療法人設立の主なメリット
☆理事長の給料を役員報酬として設定するので、サラリーマンと同じく給与所得控除が受けられる(給与額の5%+170万円ほど)。例えば2000万の場合は、270万の控除が受けられます。
※青色申告特別控除を適用しても、最大65万円しか控除できない。

☆ 退職金を本人及び配偶者に支給する事ができる。退職金の課税方法は分離課税で、所得の1/2に税率をかける形になっています。したがっておおよそですが5000万の退職金の場合は25%の税率ですむ形になります。
※本人及び配偶者に支給できない。

☆個人では経費にならない生命保険が経費になる。例えば保険料が年間500万であっても保険の種類によっては全額経費です。
※生命保険控除として最大で10万の所得控除のみである。

☆分院を作ることが出来る。
※個人診療所は管理者と開設者が原則、同一であるため分院は作れない。

☆開設者が医療法人のため管理者を変えることに面倒がない。
※管理者を変えることは、廃業と新規開業を意味する。保険医の登録に隙間があいたり、診療が中断することがあります。

☆事業承継は理事長のみを変えることで足りる。
※開設者及び管理者を変える必要がある。

☆理事長(院長)自身に日当を支払ったり、社宅として自宅の家賃を経費にすることができる。
※院長自身への日当は経費にならず、また、自宅の家賃は業務部分以外は経費にならない。

これに対して医療法人設立の主なデメリットには次頁のものがあります
(※は個人のままの場合)

○医療法人設立の主なデメリット
★小規模企業共済は解約しなくてはならない。
※ 所得控除の際、全額控除可能です。

★出資金が1000万円を超える場合は、年間の自費収入額にかかわらず、
2年間は消費税がかかる。内装、ユニット等を出資すると1000万を超えることが多い。
※あくまでも2年前の自費収入が1000万を超えている場合のみ課税。

★個人医院の時の借入金につき、全額引き継げないケースがある。引き継げるのは設備資金のみである未払金であり、未払費用は引き継げない。

★新たに借入を申し込む際、民間金融機関・国民金融公庫・信用保証協会の審査上、新規扱いとなる。

★厚生年金に加入しなければならないため、社会保険の負担が重くなる。
※都道府県によっては医師国保に加入でき、厚生年金には加入しない事ができるため、従業員の社会保険の負担が少ない。

★税務調査が厳しくなると言われている。
※特に売り上げ除外は、役員賞与となりかなりの税負担になる。

★解散時に残余財産はすべて地方公共団体等に吸収される。MS法人の役員と医療法人の理事は、原則、兼務できない。

★医療法人が理事または理事の親族から診療所を賃借する場合は世間相場以下で借りる必要がある。

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Q7. 「医療法人になった場合に特に留意することはなんですか?」

A. 下記の手続きを行ったか確認し、速やかに行う必要があります。

  1. 雇用保険の名称変更は行ったか?
  2. 厚生年金の手続きは完了したか?
  3. 健康保険の手続きは完了したか?(個人診療時に歯科医師国保に加入済みの場合は歯科医師国保を選択する余地あり)
  4. 個人診療時の通帳は名義変更または解約をしたか?(銀行に要確認のこと)
  5. 医療法人の新規の通帳を作成しましたか?
  6. 自動振り替えの携帯電話の支払い口座の変更等をしたか?
  7. 自動振り替えの電話料金の支払い口座の変更等をしたか?
  8. 自動振り替えの電気・水道の支払い口座の変更等をしたか?
  9. 自動振り替えのリースの支払い口座の変更等をしたか?
  10. クレジットカードの解約、新規作成を行ったか?(法人カードが新規にできないこともありえる)
  11. 中小企業退職金共済の契約継続申出書を作成したか?(支払い口座の変更等も含む)
  12. 医療法人への引継ぎ資産の耐用年数の変更をしたか?
  13. 引継ぎ資産の償却方法は定率法でよいか?
  14. 開設予定年月日の前日を基に貸借対照表を作成しましたか?
  15. 借入債務はどうするか?(通常は以前のままのケースが多い。支払い先銀行も個人のままが多いが、銀行に聞いてみること)
  16. 開業届を税務署及び都税事務所に届けたか?
  17. 源泉所得税の納期の特例を申請したか?
  18. 法人成り時の個人の確定申告につき消費税は発生するか?(得に出資資産に注意)
  19. 法人の第1期・2期は消費税は課税されるか?届出書は提出したか?
  20. 個人の国税の予定納税減額申請を出す必要があるか?(7/15・11/15まで)
  21. 役員報酬の決定を行ったか?
  22. 小規模企業共済の解約を行ったか?
  23. 国民年金基金の解約を行ったか?
  24. 国民年金の納付は厚生年金加入月から必要ないことを伝えたか?
  25. 国民健康保険の喪失届の提出は済ましたか?
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Q8. 「決算時の対策にはどんなものがあるの?」

A.医療法人と個人診療所ではそれぞれ対策も異なります。

まず、両者に共通するものとしては以下のものが挙げられます。

  1. 消耗品や30万未満の資産の購入
  2. 修理の実施
  3. 家賃の前払い
  4. 中古車の購入
  5. 社員旅行の実施
  6. 売掛金の貸倒処理
  7. 宣伝
  8. ホームページの更新・製作

医療法人ですと主に下記のようなものがあります。

  1. 決算期の変更
  2. 生命保険の加入
  3. 決算賞与

個人診療所ですと下記のようなものがあります。

  1. 専従者給与の改定
  2. 国民年金基金や小規模企業共済の加入
  3. 概算経費を使う方は、所得控除または自費に係る経費を増やすこと
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Q10. 「矯正歯科の収入の計上時期は?」

A.歯列矯正には通常1年から2年くらいの治療期間が必要です。歯列矯正治療を行う場合には、矯正装置の代金及び装着料のほか、その矯正治療の全期間を通ずる基本料金を、矯正装置の装着時において患者に請求し、一括受領している事例が少なくありません。
この基本料については、その収入計上時期について下記のように扱います。

①矯正装置の装着など一定の役務の提供を行った時に基本料等の全額について請求し受領することとしている場合には、基本料等の全額についてその一定の役務の提供を了した日の収入金額とします。

②期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、その期間が経過した日又はその役務の提供を了した日の収入金額とします。

③上記以外の場合はそれぞれ次によります。
イ 支払日が定められている場合には、その支払日とします。
ロ 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求があった時に支払うべきものとされている場合には、その請求の日)とします。
ハ ただし、イ及びロのうち、支払日が矯正治療を完了した日後とされているものについては、矯正治療を完了した日とします。

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Q11. 「MS法人との取引はどのくらい認められますか?」

A.MS法人とは、MedicalService(メディカルサービス)法人の略称で、医療行為以外のメディカルサービスを提供するために設立される株式会社や有限会社のことを一般にMS法人と呼びます。MS法人との取引はさまざまなケースが考えられます。
代表的なケースと留意事項等を説明したいと思います。

(共通事項)

  1. 医療法人の場合は、理事とMS法人の役員との兼任がないことが望ましいと言えます。(都庁や県庁の保健課の指導でもあります)
  2. 取引には契約書または請求書が必要です。(他の取引先と同様に書類を整備する必要があります)
  3. 支払い期限等があいまいでないことが望ましいです。(内部の会社のため、支払期限等が曖昧なケースがあります)
  4. MS法人と医療法人との業務を分け、負担すべき費用をそれぞれが負担します。(事務所等が同様の場合は、光熱費等を負担。また、スタッフの方は医療法人の業務との掛け持ちとしないことが重要です)
  5. MS法人と医療法人の間で金銭の貸し借りを行わないようにします。
  6. MS法人の常勤のスタッフについては、社会保険・雇用保険に加入します。

(ケース別)
1.人材派遣業務
基本的には、人材派遣業務はNGと思われます。人材派遣業務には認可が必要であり、特定の会社のみに派遣する場合はおそらく認可は下りないと思われます。そのため人材派遣業務をMS法人で行うことは難しいと思われます。
したがって、業務自体を請負で行う必要があります。
業務請負には、レセプト業務・清掃管理、薬品管理業務・技工業務・経営コンサルティング業務などがあります。

2.診療所の賃貸業務
転貸する場合は、相場により賃貸する形になりますので、原則は現貸主と同額の家賃となります。内装や看板設置費用等の設備をMS法人が負担する場合は、相場家賃に内装費用÷60ヶ月から120ヶ月くらいを目安に加算します。

3.リース業務
リース資産に利息を加算して、リース料を算定します。利息は、世間相場を想定します。普段、使用している業者に問い合わせるとよいかもしれません。
留意事項は、リース期間終了後は、再リースか買取りになりますが、この再リース料及び買取金額も世間相場となります。これも同じく普段、使用している業者に問い合わせるとよいかもしれません。

4.レセプト請求業務
保険点数の1.5%から3%くらいが妥当でしょうか。

5.設備保守管理業務
1日あたりの保守料として1㎡あたり40円から100円くらいが相場でしょうか。
30坪くらいの診療所の場合は12万から30万くらいでしょうか。
業務としては、清掃業務・点検業務・ユニット保守業務・レントゲン保守業務といったところでしょうか。

6.薬品売買及び管理業務
医薬品の購入だけでしたら購入金額に1割から2割の利益を乗せた金額を売価にします。
在庫の管理を合わせて行う場合は購入金額に1.1から1.5%くらい乗せた金額を請負金額とします。

7.歯科技工業務
まず、技工士を基本的は雇い入れることが重要です。技工士に支払う給与の2.5倍から4倍くらいが技工代として請求します。
技工士についても、常用の場合は社会保険に加入する形が望ましいと思われます。
技工士を雇い入れない場合は、MS法人が支払う技工代に1割から2割くらいの利益を乗せた金額を売価にします。

8.経営コンサルティング業務
診療収入の3~5%くらいが相場と思われます。行う業務としては、下記のような業務が代表的です。

  1. 歯科医師・衛生士への医療技術の提供
  2. 受付のアポイントの取り方及び接患者指導
  3. レセプト点数の指導
  4. 求人広告の指導
  5. 経理・在庫管理の指導
  6. 増患対策の指導
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