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●医療法人のメリットとデメリット

●医療法人にするメリット

 

個人事業主の場合

法人成した場合

(1) 青色申告特別控除と役員報酬

青色申告特別控除を適用しても、最大で65万円しか控除できない。

理事長の給料を、役員報酬として設定するのでサラリーマンと同じく給与所得控除が給料の5%+170万ほど受けられる。
(限度は245万円となります)

(2) 保険契約

一般の生命保険と個人年金保険を合わせても、最大で12万円しか控除できない。

定期保険部分に関しては、基本的に全額経費に算入できる。(保険金の受取人が法人の場合)

(3) 減価償却の方法

強制償却しなければならない。
車の償却は50%から90%ぐらいまでしか償却できない。

・年によって減価償却費の計上をしないこともできる。税法上は事実上の利益調整が可能となる。
・引継ぎ資産については中古耐用年数になるため償却が大きい。
・法人名義にすると車の償却は100%にならざるを得ない。

(4) 退職金及び社宅

本人及び配偶者に支給できない。

・本人及び配偶者に退職金を支給できる。
・賃貸マンションの一部の家賃を経費にできる。

(5) 資金援助

原則、借入れとなるため利息をとる必要がある。また、返済する必要がある。

基金という形にて資金援助できる。

(6) 赤字の繰越控除

所得が赤字になった場合、3年間だけ繰越控除できる。

損益が赤字になった場合、9年間繰越控除できる。

(7) 所得税と法人税の税率

累進税率(5%~40%)が適用されるので、1800万を超えると国税・住民税を合わせて50%の税率になる。

医療法人だと、税率は一定(利益が800万円まで15%)なので、利益が1800万を超えても最大で住民税・法人税合わせて約30.78%になる。

(8) 医療法上

・分院を原則、持てない。
・管理者を変更する場合は一定の場合(例、勤務医、親子間等)を除き、保険医の指定につき空白の期間が生じる。
・ 管理者の変更は原則、新規扱いになり行政指導を受ける可能性がある。

・分院を持つことが可能。
・管理者が変更した場合は、管理者と理事の変更のみで足り、保険医の指定についても空白ができない。
・原則、管理者の変更は新規扱いにならない。

(9) 事業承継問題

管理者及び開設者を変更し、賃貸借契約や医療設備等の名義も変更する必要あり、すべての医療にかかわるすべての資産(内部留保にかかる預金等)に相続税がかかる。

・管理者と理事長を変更すれば足りる。
・管理者と理事長は相違してもかまわないため、生前に管理者のみ変更して理事長として合法的に報酬をとることが可能。
出資持分がないため利益の内部留保の蓄積に伴う相続税の負担の増加はない。(基金の額面に対してのみ相続税がかかる) 

(10) 消費税

あくまでも2年前の自費収入が1000万を超えている場合のみ課税あり

法人の1期目は必ず免税事業者となる
第2期目は1期目の6ヶ月間の自費が1000万円を超える場合は2期目から課税となる。(第1期の事業年度が7ヶ月以下であれば無条件に2期目も免税となる)

●医療法人にするデメリット

 

個人事業主の場合

法人成した場合

(1) 所得税率と法人税率

累進税率(5%~40%)が適用されるので、利益が少ないときには税金が安くなる。

基本的に税率は一定(利益が800万円まで15%)なので、利益が少ないときでも同じ税率が適用される。

(2) 赤字・給与


利益がゼロであれば、税金はゼロになる。(地方税の均等割除く)専従者給与の変更はいつでも可能。

例えば、個人事業で利益がゼロである場合でも、法人で役員報酬を月30万円の設定をしたままだと、年収360万円に対して税金がかかる。
また、役員報酬の変更は定時総会のみになる。
専従者に賞与は支給しても経費にならない。
赤字であっても均等割の7万は必要。

(3) 交際費

交際費の上限規制はない。

年間600万円が損金算入の限度額。
枠内でも、10%は損金不算入。

(4) 事業税

現行制度は、当面変更なし。基礎控除が290万あり、さらに税率は5%。

現在は資本金1億円超の法人のみが対象だが、外形標準課税制度の適用範囲が将来的に変更されると税負担が増える可能性あり。なお現在は税率はおよそ400万以下は5%、400万超は6.6%・給与課税することにより事業税の負担は無くなる。(特に自由診療の多い業種)

(5) 小規模企業共済

所得控除の際、全額控除可能。

解約する必要あり。(医療法人の理事は加入できないため)

(6)税務調査

 

税務調査は個人より期間も長く厳しい。
調査件数が多いと言われている。

(7)消費税

あくまでも2年前の自費収入が1000万を超えている場合のみ課税あり。

個人から法人になった場合につき引継ぎ資産に消費税がかかる場合がある(個人の最後の消費税の申告の際に必要)。

(8)借入金・買掛金

 

全額、引き継げないケースがある。
未払金、未払費用は引き継げない。
民間金融機関、政策金融公庫、信用保証協会の審査上、新規扱いになる。

(9) 理事等

必要なし。

理事は3人以上必要。
監事は1人以上必要。
社員は出資に関係なく議決権をもつため、社員の選出は要注意。

(10) 出資

概念がない。

基金制度を利用した場合、出資した金額を限度とし、返還可能だが、残りの資産は医療法人の資産か、または解散等の場合は市区町村に移転される。

(11) 引き出し

事業用の通帳から自由に引き出しても税務上問題にならない。

事業用の通帳から自由に引き出したら税務上問題になる。引き出した金額は、貸付金になる。

(12) 社会保険

歯科医師国保に加入でき、厚生年金には加入しないことができるため、従業員の社会保険の負担が少ない。

厚生年金に加入しなければならないため社会保険の負担が重くなる。
歯科医師国保の継続は各組合により若干相違するため要確認。

(13) 譲渡

暖簾代の課税関係譲渡所得となり差益に50万を引いた残りの1/2が給与等と合算され課税される。所得が1/2となるため最大で25%の課税ですむ。

出資持分という概念がないため暖簾代を付加して譲渡することが不可能。(旧医療法人は可)退職金等の支払いにより実質売買する必要がある。

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