個人事業主の場合 |
法人成した場合 |
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(1) 青色申告特別控除と役員報酬 |
青色申告特別控除を適用しても、最大で65万円しか控除できない。 |
理事長の給料を、役員報酬として設定するのでサラリーマンと同じく給与所得控除が給料の5%+170万ほど受けられる。 |
(2) 保険契約 |
一般の生命保険と個人年金保険を合わせても、最大で12万円しか控除できない。 |
定期保険部分に関しては、基本的に全額経費に算入できる。(保険金の受取人が法人の場合) |
(3) 減価償却の方法 |
強制償却しなければならない。 |
・年によって減価償却費の計上をしないこともできる。税法上は事実上の利益調整が可能となる。 |
(4) 退職金及び社宅 |
本人及び配偶者に支給できない。 |
・本人及び配偶者に退職金を支給できる。 |
(5) 資金援助 |
原則、借入れとなるため利息をとる必要がある。また、返済する必要がある。 |
基金という形にて資金援助できる。 |
(6) 赤字の繰越控除 |
所得が赤字になった場合、3年間だけ繰越控除できる。 |
損益が赤字になった場合、9年間繰越控除できる。 |
(7) 所得税と法人税の税率 |
累進税率(5%~40%)が適用されるので、1800万を超えると国税・住民税を合わせて50%の税率になる。 |
医療法人だと、税率は一定(利益が800万円まで15%)なので、利益が1800万を超えても最大で住民税・法人税合わせて約30.78%になる。 |
(8) 医療法上 |
・分院を原則、持てない。 |
・分院を持つことが可能。 |
(9) 事業承継問題 |
管理者及び開設者を変更し、賃貸借契約や医療設備等の名義も変更する必要あり、すべての医療にかかわるすべての資産(内部留保にかかる預金等)に相続税がかかる。 |
・管理者と理事長を変更すれば足りる。 |
(10) 消費税 |
あくまでも2年前の自費収入が1000万を超えている場合のみ課税あり |
法人の1期目は必ず免税事業者となる |
個人事業主の場合 |
法人成した場合 |
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(1) 所得税率と法人税率 |
累進税率(5%~40%)が適用されるので、利益が少ないときには税金が安くなる。 |
基本的に税率は一定(利益が800万円まで15%)なので、利益が少ないときでも同じ税率が適用される。 |
(2) 赤字・給与 |
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例えば、個人事業で利益がゼロである場合でも、法人で役員報酬を月30万円の設定をしたままだと、年収360万円に対して税金がかかる。 |
(3) 交際費 |
交際費の上限規制はない。 |
年間600万円が損金算入の限度額。 |
(4) 事業税 |
現行制度は、当面変更なし。基礎控除が290万あり、さらに税率は5%。 |
現在は資本金1億円超の法人のみが対象だが、外形標準課税制度の適用範囲が将来的に変更されると税負担が増える可能性あり。なお現在は税率はおよそ400万以下は5%、400万超は6.6%・給与課税することにより事業税の負担は無くなる。(特に自由診療の多い業種) |
(5) 小規模企業共済 |
所得控除の際、全額控除可能。 |
解約する必要あり。(医療法人の理事は加入できないため) |
(6)税務調査 |
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税務調査は個人より期間も長く厳しい。 |
(7)消費税 |
あくまでも2年前の自費収入が1000万を超えている場合のみ課税あり。 |
個人から法人になった場合につき引継ぎ資産に消費税がかかる場合がある(個人の最後の消費税の申告の際に必要)。 |
(8)借入金・買掛金 |
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全額、引き継げないケースがある。 |
(9) 理事等 |
必要なし。 |
理事は3人以上必要。 |
(10) 出資 |
概念がない。 |
基金制度を利用した場合、出資した金額を限度とし、返還可能だが、残りの資産は医療法人の資産か、または解散等の場合は市区町村に移転される。 |
(11) 引き出し |
事業用の通帳から自由に引き出しても税務上問題にならない。 |
事業用の通帳から自由に引き出したら税務上問題になる。引き出した金額は、貸付金になる。 |
(12) 社会保険 |
歯科医師国保に加入でき、厚生年金には加入しないことができるため、従業員の社会保険の負担が少ない。 |
厚生年金に加入しなければならないため社会保険の負担が重くなる。 |
(13) 譲渡 |
暖簾代の課税関係譲渡所得となり差益に50万を引いた残りの1/2が給与等と合算され課税される。所得が1/2となるため最大で25%の課税ですむ。 |
出資持分という概念がないため暖簾代を付加して譲渡することが不可能。(旧医療法人は可)退職金等の支払いにより実質売買する必要がある。 |