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●相続時精算課税制度の使い方

お孫さんにも相続時精算課税制度の利用が可能になりました。

相続時精算課税制度は、言い換えると相続税と贈与税の一体課税。つまり、相続時に贈与した財産と相続により取得した財産の合計に対して相続税を課税する仕組です。
この場合、贈与税は2500万円まではかかりません。
(使い方の例をあげてみましょう)

①子供の住宅ローンを肩代わりします。
効果は返済期間中の銀行に支払う利息が免除されます。非課税になる2500万円を繰り上げ返済等することでかなりの利息を支払わずにすみます。
例えば下記の条件で借入をしたとします。
1.借入元金 2,500万の借入
2.固定金利 2.5%
3.返済期間 30年
上記の条件で30年間に支払う利息はおおよそ1,200万弱にもなります。贈与を受けて繰り上げ返済をすることにより、この1,200万がゼロになります。相続時精算課税制度を選択しない場合に2500万の贈与を受けると810万5000円の贈与税がかかります*。
*(2500万円―110万円)×45%―265万円=10,755,000円―2,650,000円=8,105,000円

②賃貸住宅を贈与します
賃貸住宅の固定資産税評価額は、実際にかかった建築額に比べてかなり低い金額になっています。5000万かけて作った賃貸マンションでも建築後は建築額の6割から半分以下になります。更に貸家に該当するので固定資産税評価額の7割が評価額になるので時価よりかなり低くなります
また、賃貸マンションを子供に移転した後の家賃収入はすべて子供に移転されますので贈与した親の財産が増えないことで間接的な相続対策にもなっています。

ここで現金を2500万贈与されるのと2500万の賃貸住宅(家賃が年間350万)の相続人への移転額の相違を見てみましょう。
この場合に注意するべきことは
1.敷金相当額を子供に渡し、精算することです。
2.借主さまに賃貸借契約書を変更するかまたは、通知し、更新時に賃貸借契約書を変更ください。
【相続人(子)へ移転される財産の額の比較】

 

1.現金を2500万円贈与する場合

2.賃貸住宅を贈与する場合

10年後

2500万+預金利息

3500万の家賃収入(350万×10年)

15年後

2500万+預金利息

5,250万の家賃収入(350万×15年)

20年後

2500万+預金利息

7,000万の家賃収入(350万×20年)

現金贈与は2500万+預金利息です。賃貸住宅は10年たった賃貸住宅(2500万)と家賃10年分(3500万)の6000万です。10年で2倍強の財産の移転となります。

③非公開株式を相続人に移転しましょう
これは相続時精算課税制度の、「贈与時の金額を相続税の計算に用いることができる」というメリットを活かした方法です。
非公開株式を所有している場合、その株価が高いために相続税の納付が困難になるケースが非常に多いです。株価の計算方法は会社の業績によって変動します。不良債権の貸し倒れや退職金の支払い等により株価が下がることもあります。株価の下がったときに一度に相続人に移転すると節税につながることがあります。たとえば、社長の退職に伴い、3億円の退職金を支払ったため株価が5000円から2000円に下がったとします。この下がったときに全株を相続時精算課税制度を使って相続人に移転すると、実際の相続時には2000円の株価を使って相続税を再計算できます。相続時の株価が仮に5000円でしたら5000▲2000の差額が節税につながります。

④個人営業を生前に移転しましょう
上記⑥の非公開株式の移転は会社組織であることです。それでは会社ではなく個人営業の場合はどういった事業承継になるでしょうか。そこで、個人診療の内科医を例に話をしてみます。
70歳の医師である父親が長男である息子に診療所を完全に譲り渡し、父親は完全に診療を辞めるとします。この場合、下記の財産を長男に移転する必要があります。
1.診療所の土地(時価3,000万)
2.診療所の建物(時価1,000万)
3.機械類(200万)
4.備品類(150万)
5.運転資金 (300万)
6.在庫商品(50万)
7.借入金(1,500万)
移転の方法は、父親の相続、譲渡、贈与の3つがあります。贈与ですが、以前までは贈与税が大きな障壁となっていましたが、この相続時精算課税制度を使うと多額な贈与税が必要なくなりました。上記の例で相続時精算課税制度を使う場合とそうでない場合(110万の控除)の比較をしてみます
(相続時精算課税制度を使う場合)
①移転財産(上記1から6の合計から引き継ぐ借入金を控除します)
3,000万+1,000万+200万+150万+300万+50万▲1,500万=3,200万
②税金
(3,200万▲2,500万)×20%=140万
(110万円の控除を使う場合)
(3,200万▲110万)×50%▲415万=1.130万

上記のように以前では1,130万かかった贈与税が140万程度まで下がります。つまり相続時精算課税制度を利用するとかなりの低い税額で移転できます。したがって生前贈与の方法をとると、まず、生前に事業の引継ぎが完了でき、移転後の診療所の利益はすべて相続人に移転されます。相続や譲渡以外の方法として贈与も考えてもよいと思われます。

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