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●相続税の計算の基礎を理解しましょう

相続税のご相談で以下のようなご質問を受けることが多いので、相続された方が勘違いしやすい点をまとめてみました。

1.財産を相続すると必ず相続税がかかる。
相続税のご相談に応じていると「このたび祖父がなくなりまして、私は預金を1000万円も相続しました。税金はいくらくらいになりますか?」こんな質問があとをたちません。
このお客様は、おそらく贈与税と勘違いされていたのでしょう。
贈与税は110万円を超えると10%から55%の贈与税を払う必要があります。そのため1000万円も相続するとたくさんの税金がかかると思ったのでしょう。
ここでもう一度おさらいですが下記の場合は相続税がかかりません。
①相続する財産の合計が3000万+法定相続人の数×600万以下の場合、相続税は発生しません。
②相続する財産の合計が3000万+法定相続人の数×600万を超えても1億6000万以下で配偶者がすべて相続すれば相続税は発生しません。

2.実際に相続する財産が3000万+600万×相続人の数以下の金額であれば相続税はかかりません。
相続税の相談に応じていると「このたび祖父がなくなりまして、私は預金を6000万円、兄が3000万円相続しました。でも、相続人が2人ですから相続税の基礎控除の4200万(3000万+600万×2人)以下だから2人とも税金はかからないと思うのですが?」こんな質問があとをたちません。
このお客さんは、おそらく相続税の基礎控除が、相続人ごとに、各人ごとに使えると思っているのでしょう。しかし、相続税の基礎控除は、相続人全員で3000万+600万×法定相続人の数です。この例でいうとそれぞれ4200万でなく、相続人2人で4200万です。したがってこの例でいうと相続税はかかります。(既に配偶者がおりませんので、配偶者の相続税の軽減は使えません)

3.配偶者の相続税の軽減を使うと相続税がかからないので相続税の申告は必要ない
相続税の相談に応じていると「このたび父がなくなりまして、私は財産を一切相続しませんでした。母が8000万相続しました。相続人が2人ですから相続税の基礎控除の4,200万(3,000万+600万×2人)以上ですが、相続税の配偶者の軽減を使えば相続税はなしですよね。だからうちは相続税の申告は必要ないですよね」こんな質問もあとをたちません。
このお客さんは、おそらく配偶者の相続税の軽減に、申告要件があることを知らないと思われます。この規定は申告をしてはじめて認められます。つまり申告をしないとこの規定を使えないのです。

4.小規模宅地等の評価減の適用を受けると相続税がかからないので相続税の申告が必要ない
相続税の相談に応じていると「このたび母が亡くなりました。母の財産は家とその敷地が主な財産です。相続人は姉と妹である私の2人です。同居していた私が住宅を相続することになりました。50坪くらいある土地と築25年の古い家ですが、このあたりの土地は坪200万くらいするそうです。しかし、小規模宅地等の評価減の特例により70坪くらいまでの土地(正確には240㎡まで)は8割減の評価減でできると知人から聞きましたのでほっとしております。」おそらくこのかたは下記のように考えたのでしょう。
①1坪200万が50坪で土地の評価は1億円と計算
②小規模宅地等の評価減の特例を使い、1億×80%を1億円から控除し、
2000万と計算
③老朽化した家と残りの財産が数百万であるから、土地の2000万と残りの財産の数百万で相続人が2人である場合の基礎控除(3.000万+600万×2人=4,200万)以下であると計算
上記①から③はすべて正解です。ただひとつ追加で相続税の申告期限までに遺産分割を終了し、相続税の申告をして始めて小規模宅地等の評価減の特例を受けることができる点に留意が必要です。

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